システム開発で「仕様ズレ」を防ぐ | 発注者が工夫できる5つのポイント
システム開発で「指示通りに作ってもらったはずなのに、何か違う」と感じる瞬間は意外と多いものです。
実は、IPAの調査によれば、システム開発プロジェクトの約5割が何らかの問題を抱えており、
その主因の一つが「要件定義の不備」や「仕様の認識ズレ」です。
けれども、仕様ズレは防げる問題でもあります。
鍵は、
(1)発注者側で要件を明確化し認識齟齬を減らすこと、
(2)誠実に向き合い意図を汲み取ってくれる開発パートナーを選ぶこと、の2つです。
この記事では、創業以来100%国内開発を貫き、300件を超えるシステム・アプリ開発実績を持つレブクリエイトの知見をもとに、仕様ズレを防ぐために発注者が押さえるべきポイントをお伝えします。
この記事でわかること
・システム開発で仕様ズレが起きる主な原因と影響
・発注者として「仕様を固める」ために押さえるべき5つのポイント
・仕様を正確に固められる開発会社の見極め方(初回相談で確認すべき質問リスト)
・オフショア開発と国内開発の違い、仕様ズレを防ぐ観点での判断基準
・今すぐ実践できる3つのステップ
システム開発における「仕様ズレ」とは?起きる原因と影響
システム開発における「仕様ズレ」とは、発注者が期待していた機能や動作と、
実際に納品されたシステムとの間に認識のズレが生じている状態を指します。
「仕様書通りに作られているのに、使ってみると期待と違う」
「こう動くと思っていたのに、そうなっていない」といった事態が典型例です。
仕様ズレの主な原因は「曖昧さ」と「コミュニケーション不足」
仕様ズレは、要件定義から開発、テストまでのあらゆる段階で発生する可能性があります。
発注者側の要因
・要件が曖昧で具体性に欠ける(「使いやすく」「いい感じに」といった抽象的な表現)
・業務フローや実際の運用イメージを十分に伝えきれていない
・プロジェクト途中で要望が変わるが、その影響範囲を考慮せず追加・変更を求める
・現場の声を集約できておらず、後から「これも必要だった」と判明する
開発会社側の要因
・発注者の業界や業務への理解が不足しており、背景を汲み取れない
・質問や確認を怠り、曖昧な部分があっても自己判断で進めてしまう
・進捗報告や中間確認が不十分で、ズレに気づくのが遅れる
双方のコミュニケーション不足
・専門用語の認識が一致しておらず、同じ言葉でも異なる意味で使っている
・定期的なレビューやすり合わせの場が設けられていない
・言葉だけでやり取りし、画面イメージやフロー図などの視覚的な資料が不足
仕様ズレがもたらす影響:納期遅延、コスト増、品質低下
仕様ズレが発生すると、プロジェクト全体に大きな影響が及びます。
納期への影響
修正作業が発生し、予定していたリリース日に間に合わなくなります。
手戻りが重なると、数週間から数ヶ月の遅延につながることも珍しくありません。
コストへの影響
仕様変更や修正対応が追加費用として請求され、当初予算の1.5倍~2倍に膨れ上がるケースもあります。
品質への影響
急いで修正した箇所で新たな不具合が生じたり、十分なテストができず品質が低下する恐れがあります。
チームの疲弊
発注者・開発者双方の信頼関係が損なわれ、プロジェクトメンバーの士気が下がりモチベーションが低下します。
仕様ズレは、単なる「ちょっとした認識の違い」では済まされません。
プロジェクトの成否を左右する重大なリスクです。
発注者として「仕様を固める」ために押さえるべき5つのポイント
仕様ズレを防ぐには、発注者側も主体的に準備し、要件を具体化する姿勢が欠かせません。
ここでは、発注者として「仕様を固める」ために押さえるべき5つのポイントをお伝えします。
押さえるべき5つのポイント
【1】業務フローを図解すると認識が揃う
【2】「必須」と「できれば」を明確に分ける
【3】曖昧な表現を使わず具体的な基準を示す
【4】画面イメージを共有すれば伝わりやすい
【5】定期的に仕様確認の場を設ける
ポイント1:業務フローを図解すると認識が揃う
業務フローの可視化は、要件定義の成功を左右する重要なステップです。
なぜ業務フロー図が必要なのか
文章や口頭での説明では、複雑な業務プロセスを正確に伝えるのは難しいものです。
「この書類が来たら、上司に確認して、承認されたら次の部署に回す」といった一連の流れを言葉だけで説明すると、
聞き手によって解釈が異なる可能性があります。
業務フロー図(フローチャート)にすれば、全体像を一目で把握でき、
「思っていたのと違う」という認識ズレを減らせます。
現状業務の無駄や抜けも発見しやすくなり、要件の漏れ防止にも役立ちます。
具体的な作成方法
業務フロー図を作る際は、特別なツールは不要です。
PowerPointやExcelで簡単な図を描くだけでも十分です。
①開始と終了を明確にし、誰が何をするのか(担当者・部署)を明記します。
②判断・分岐のポイント(承認・却下、条件分岐など)を示し、データや書類の流れを矢印で表現します。
例えば、「申請書の承認フロー」なら、「申請者が入力→上司が確認→承認 or 差し戻し→経理部へ送付」という流れを図にします。
開発会社とのすり合わせに活用する
業務フロー図を開発会社に見せながら打ち合わせをすれば、「ここの処理はどう実装しますか?」「この分岐条件はシステムでどう判定しますか?」といった具体的な議論ができます。
口頭だけでは伝わりにくい細かな業務ルールや例外処理も、図を指差しながら説明すれば認識を合わせやすくなります。
ポイント2:「必須」と「できれば」を明確に分ける
要件を「必須要件」と「希望要件」に分類することは、仕様を固める上で非常に重要です。
必須要件と希望要件の違い
- 必須要件:実装しないとシステムが機能しない、業務が回らない根幹機能
- 希望要件:あれば便利だが必須ではない、できれば実現したい機能
例えば、ECサイトの場合、「商品をカートに入れて購入できる」機能は必須ですが、「お気に入りリストに保存できる」機能は希望要件かもしれません。
なぜ分類が必要なのか
すべての要望を「できればやってほしい」という曖昧な形で伝えると、開発会社側は優先順位を判断できません。
結果として、本来最も重要な機能の実装が後回しになったり、予算や納期が足りなくなってから「何を削るか」で揉めるリスクがあります。
要件を重要度で仕分けすれば、関係者全員が同じゴールを共有しやすくなります。
開発者側もリソース配分やトレードオフ判断がしやすくなり、スムーズにプロジェクトが進みます。
実践のコツ
要件をリストアップする際、各項目に「必須」「できれば」「あれば便利」といったラベルを付けましょう。
さらに、予算や納期に制約が出た場合に「どこまでは絶対に譲れないか」「どこから削れるか」を事前に社内で合意しておくと、判断がスムーズになります。
ポイント3:曖昧な表現を使わず具体的な基準を示す
抽象的な言葉は厳禁です。
「使いやすく」「柔軟に対応できる」といった表現は、人によって解釈がバラバラになります。
NGな表現とOKな表現の例
| ❌ 曖昧な表現 | ✅ 具体的な表現 |
|---|---|
| ユーザーが使いやすいUIに | 主要操作はクリック3回以内で完了 |
| システムを柔軟に変更できるように | 商品カテゴリを将来10件から100件に増やせる拡張性 |
| いい感じのデザインで | 青系のグラデーションで、ボタンは右上に配置 |
| 速く動くようにしてほしい | 検索結果の表示は2秒以内 |
定量的な基準や具体例に置き換えることで、伝わりやすくなります。
「速く」ではなく「○秒以内」、「たくさん」ではなく「最大○件」、「わかりやすく」ではなく「○○の画面レイアウトを参考に」といった形で、定量的な基準や具体例を示しましょう。
オフショア開発では特に、抽象的表現や曖昧な言葉はNGです。
言語の壁があるため、日本語の微妙なニュアンスが伝わりません。
国内開発でも、曖昧さを排除すれば認識ズレは大幅に減らせます。
発注者自身が明確にできない場合
「どう表現すればいいか分からない」という場合は、開発会社に相談しながら具体化していくのも一つの手です。
優秀なディレクターであれば、「その『使いやすく』とは、具体的に何回のクリックで完了することを想定していますか?」と質問を投げかけて、一緒に言語化してくれます。
ポイント4:画面イメージを共有すれば伝わりやすい
UIや画面レイアウトは、言葉より画像で伝える方が断然確実です。
ワイヤーフレームを作成する
ワイヤーフレームとは、画面の大まかなレイアウト図のことです。
専門的なツールがなくても、PowerPointやExcel、手描きの簡単なスケッチでも構いません。
「ここにメニューがあって、ここに検索ボックス、その下に一覧が表示される」といったイメージを描いて共有するだけで、認識のズレは大きく減ります。
参考サイトのスクリーンショットを活用
「こんな感じのデザインにしたい」と思っているサイトがあれば、
そのスクリーンショットを撮って開発会社に見せましょう。
「このサイトのこの部分のレイアウトを参考にしてほしい」と伝えれば、イメージが明確に伝わります。
プロトタイピングの活用
可能であれば、開発前に簡易な試作画面(プロトタイプ)を作ってもらい、実際に触ってみることも有効です。
動くものを見て触ることで、「ボタンの配置がここだと押しにくい」「この画面遷移は分かりにくい」といった気づきが得られます。
頭の中のイメージを絵に描いて伝えることが重要です。
「言葉で伝えたつもり」が最も危険で、画像や図で共有すれば、発注者が思い描くイメージを正確に開発者に伝えられます。
ポイント5:定期的に仕様確認の場を設ける
要件定義書は一度作って終わりではありません。
定期的にレビューし、関係者全員で確認すれば、後の問題発生を最小限に抑えられます。
なぜ定期的なレビューが必要なのか
開発プロセス中にも認識ズレは発生し得ます。
発注者と開発者の間で、ITや業務に対する知識差があるため、
一度説明しただけでは理解が完全に一致しないこともあります。
週次の進捗会議で仕様の解釈を確認したり、プロトタイプを見ながら意見交換すれば、「思っていたのと違う」という事態を早期に発見できます。
レビューのタイミング
・要件定義フェーズ終了時:要件定義書の最終版を全員で確認
・設計フェーズ終了時:画面設計書やDB設計書を確認
・開発途中:主要機能の実装が完了した段階で中間レビュー
・テストフェーズ:実際に動くシステムを触りながら確認
変更管理の重要性
プロジェクトが進む中で、仕様変更は避けられないこともあります。
その際は、すべての要件変更を可視化し、影響度と優先度で分類しましょう。
定期的なレビュー会議で意思決定をおこない、変更内容をドキュメントに反映します。
要件定義を詰めずに進めると「こんなはずじゃなかった」という事態になります。
発注者の準備とパートナー選びでそれを防げます。
「完璧な発注」は不要?優秀なディレクターが意図を汲み取る理由
「要件を完璧に固めてから発注しなければ」と気負う必要はありません。
開発会社のディレクターは、発注者の漠然としたイメージや課題感を丁寧にヒアリングし、プロの知見を交えて具体的な仕様へと落とし込む役割を担っています。
発注者がすべてを決める必要はない
発注者が「自社の業務課題をうまく言語化できない」
「やりたいことはあるが技術的に何が必要かわからない」という状態でも構いません。
お客様自身も考えを巡らせ資料化するのは大事ですが、「自分たちだけで考えるのは難しい部分も多い」ものです。
そのため、担当者が丁寧にヒアリングし、開発途中も引き続きサポートして認識ズレがないかチェックしていく体制が重要です。
レブクリエイトはお客様の課題に対してコンサルティングから入れる点を強みとしています。
DX相談を企業規模や業種業態を問わず多数受けており、業務内容や業務フローを膝詰めで丁寧にヒアリングした上で最適な提案を得意としています。
開発会社が補うべき部分
開発依頼されるお客様は、実際の利用シーンでの困りごとを網羅しきれていないケースが多いものです。
そこを我々開発会社が補います。
発注者の「もやもやした要求」を「明確な仕様」に翻訳するのがディレクターの腕の見せ所です。
発注者側には「どうしたら良いかわからない」で終わりにせず、考えを巡らせコミュニケーションする姿勢があれば十分です。
レブクリエイトの伴走スタイル
レブクリエイトでは、要件定義フェーズから専任の担当者(ディレクター)が付き、開発開始後もその者が引き続きサポートします。
途中で疑問が出れば気軽に投げかけられる環境を用意し、
開発途中でも「本当にこのままで良いか」をお客様と一緒に確認していきます。
開発中常に発注者の意図を汲み取りながら軌道修正し、理想のシステムに近づけていきます。
「要件がまだ固まりきっていない…」と感じている段階からでも遠慮なく相談してください。
上流の構想策定・要件整理から伴走するスタイルを大切にしています。
レブクリエイトにご発注いただいたお客様のほとんどが6年以上の長期にわたりお付き合いくださっています。
要件定義から設計・開発・保守運用までワンストップで対応し、納品後も含めてずっと寄り添う体制を評価いただいています。
仕様を正確に固められる開発会社の見極め方は?
仕様ズレを防ぐには、「仕様を一緒に固めてくれる」開発会社を選ぶことが重要です。
初回相談の段階で、その会社が信頼できるかを見極めるための質問リストをご紹介します。
初回相談で必ず確認すべき4つの質問
質問①:「要件定義はどのように進めますか?」
仕様ズレを防ぐには、要件定義のやり方が肝心です。
❌ 注意すべき回答
- 「要件はそちらで固めてください」
- 「ズレが起きないよう最初に完璧な仕様書をください」
このような回答をする会社は、発注者側に責任を押し付けている印象があります。
✅ 信頼できる回答
- 「要件定義フェーズにしっかり時間を取り、お客様とレビューを重ねながら仕様を詰めます」
- 「まずお客様の業務フローをヒアリングし、一緒に要件を整理していきます」
要件定義への取り組み姿勢が、仕様ズレ防止の本気度を測る試金石です。
質問②:「もし仕様の認識違いが発覚したら、どう対応しますか?」
プロジェクト中に仕様変更や解釈違いが生じる可能性はゼロではありません。
❌ 注意すべき回答
- 「その場合は都度追加見積もりします」(これだけで終わる)
このような回答はドライな印象で、仕様ズレを防ぐ努力をしているようには感じられません。
✅ 信頼できる回答
- 「定期的にお客様と仕様確認ミーティングをおこない、早期発見・早期修正に努めます」
- 「変更範囲を明確化し、優先順位を付けて対応します」
- 「認識ズレが起きないよう事前に防止策(レビューやプロトタイプ)を講じます」
「そもそもズレないように努力するが、万一起きたら迅速にリカバリーする」と明言できる会社は誠実です。
質問③:「過去に仕様ズレなどで失敗した事例はありますか?どう対処しましたか?」
どんな会社でも失敗経験はあります。
❌ 注意すべき回答
- 「ウチは失敗したことありません!」(断言する)
むしろこのような回答をする会社の方が信頼できません。
✅ 信頼できる回答
- 「実は過去に○○という案件で認識齟齬が発生し納期が遅れたことがありました。その反省から△△を改善し、以来同じミスは起きていません」
失敗から学んだ具体例を語れる会社は、プロジェクトリスクを現実的に捉えて改善している証拠です。
失敗経験を隠さず共有し、そこからの学びや対策をきちんと講じている企業は成熟度や誠実さがあります。
質問④:「開発はどこで行っていますか?(国内?オフショア?)」
開発体制は、仕様ズレの発生しやすさを大きく左右する重要な要素です。
確認すべきポイント
・開発は国内で行っているのか、それとも海外(オフショア)に委託しているのか
・オフショアの場合、コミュニケーションはどのように取るのか(翻訳の有無、時差の対応など)
・仕様の細かいニュアンスをどう伝達しているのか
オフショア開発には、言語の壁・文化の違い・時差という構造的な問題があり、
仕様の認識ズレが生じやすい傾向があります。
一方、国内開発であれば、日本語のニュアンスが正確に伝わり、
リアルタイムで仕様確認ができるため、認識のズレを早期に防げます。
コスト面でオフショアは魅力的に見えますが、仕様ズレによる手戻りやコミュニケーションコストを
考慮すると、結果的に高くつくケースも少なくありません。
開発体制がプロジェクトの成否に与える影響は大きいため、初回相談で必ず確認しましょう。
良いディレクターがいるかを確認する4つのポイント
初回から開発会社のディレクター/PMクラスと話をさせてもらうことが重要です。
営業担当だけでなく、「実際に進行を担当される方ともお話ししたい」と依頼しましょう。
業務理解に積極的か
業界特有の事情や用語について質問してくるか、自社の課題背景を深堀りしようとするか確認します。
曖昧な要望を具体化する姿勢
「○○とは具体的に△△という操作を指しますか?」など、
こちらの意図を確認・言語化する質問を投げてくれるか見極めます。
「できない」の代わりに代案を出すか
難しい点があれば「できません」で終わらず、「代わりに△△なら実現可能です」と
建設的な代替案を提示してくれるかチェックします。
仕様確認や報告の体制があるか
「○○の段階で御社にレビューいただきます」「毎週△曜日に進捗共有します」といった言及があるか確認しましょう。
「この会社(担当者)なら自社のビジネスをちゃんと理解してくれそうか」
「認識合わせに積極的か」という観点で見極めることが大切です。
価格や知名度も気になりますが、最終的には「人」がプロジェクト成功の決め手になります。
仕様ズレを防ぐなら「国内開発」を選ぶべき
仕様ズレを防ぐ観点では、そもそも国内開発を選んでおくことが効果的です。
なぜなら、コスト面で魅力的に見えるオフショア開発には、仕様ズレを引き起こしやすい構造的な問題があるからです。
オフショア開発が抱える構造的な問題:言語・文化・時差の壁
オフショア開発とは、開発業務を海外の企業に委託することです。
人件費が安いため、見積もり金額は国内よりも低くなる傾向があります。
ただ、オフショア開発には仕様ズレを引き起こしやすい構造的な問題があります。
言語の壁
オフショア先の開発チームとは基本的に日本語が通じません。
仕様書は細部まで明確に翻訳しなければならず、少しの曖昧さも許されません。
オフショアでは仕様を明確にすることが極めて重要です。
契約ベースなので、書いてないことは一切やらないのが通常です。
文化や常識の違い
「言わなくても分かるだろう」は通用せず、仕様書に書かれていないことは一切実装されないのが通常です。
「日本人の感覚が通用しない」ことを念頭に置く必要があります。
オフショアでは仕様の細かいニュアンスが伝わりにくく、認識ズレが非常に生じやすい環境です。
想定していない余計な機能が勝手に追加されている場合もあります。
海外では使いやすいITシステムの基準が異なります。
委託した会社の国でメジャーなデザインが採用され、日本では馴染みのないデザインになっている場合もあります。
時差と距離の影響
時差や距離の影響でリアルタイムなやり取りが難しく、仕様確認のサイクルが遅れがちです。
日本時間の夕方に質問を送っても、相手国の営業時間外なら翌日以降まで回答が来ません。
要件定義の負担増
オフショア開発では、要件定義・仕様調整に国内以上の労力と時間を要する傾向があります。
「作りながら考える」などまず不可能で、最初に完璧な仕様書を作り込まないと進められません。
オフショアでは言葉の壁・文化の違い・距離や時差といった要素も加わるため、トラブルがさらに多くなります。
「安かろう高くつき候」になるリスク
オフショア開発最大の魅力は人件費の安さですが、
仕様が固まらないことで発生する手戻りやコミュニケーションコストを考慮すると、
結果的に高くつくケースも多々あります。
初期見積もりは低価格だったものの、追加費用が積み重なり、
最終的に「思ったより高くついた…」というケースは少なくありません。
納品物に不具合や不足が多く修正依頼したら「それは追加費用です」となり、
さらに仕様の認識違いで「一部作り直し」が必要になり、
当初想定の1.5倍・2倍のコストになった例もあります。
リリースが遅れれば市場機会を逃したり、場合によっては違約金が発生することも。
言語が異なるので仕様書や指示の翻訳が必要で、言語スキルを持つ人材も確保しなければならず、
人件費が多くかかります。円安など為替リスクも見逃せません。
オフショアは見積り上は安く見えても、不確実性が高いため予備費や隠れコストが発生しやすいのです。
「安さを売りにする会社に頼んだら品質が低く結局高くついた」との報告もあります。
発注者にとって本当に大事なのは「安いこと」ではなく、「期待通りのシステムが適正コストで完成すること」です。
国内開発を選ぶ3つのメリット
国内開発を選べば、仕様ズレのリスクは大幅に減らせます。
もちろん国内開発はオフショアに比べて費用は高い傾向にありますが、以下のようなメリットを踏まえると、そのコストにおける費用対効果は優れています。
言語の壁がない
言語の壁がないので、発注者が言いたい微妙なニュアンスまで(例えば「こだわり」「暗黙の前提」など)伝わります。
日本語の「あいまい表現」ですら、同じ文化背景の中でなら空気感を含めて共有できることも多いのです。
リアルタイムなコミュニケーション
リアルタイムに仕様確認ができる強みがあります。
疑問があれば即座に電話やZoomで話せます。
時差を気にして翌営業日まで待つ必要もありません。
意思疎通の頻度・速度が格段に違います。
「察する文化」の恩恵
日本企業ならではの「察する文化」もプラスに働きます。
経験豊富な国内エンジニアなら、「お客様が本当に求めているのはきっとここだろう」と行間を読んで提案・実装してくれることが少なくありません。
仕様を正確に固めたいなら、コミュニケーションコストの低い国内開発に軍配が上がります。
国内 vs オフショアの判断基準:5つのチェックポイント
すべてのケースで国内開発が最適とは限りません。
以下のチェックポイントで、自社のプロジェクトに合った方を判断してください。
🔍 システム開発委託 どっちを選ぶ?5つのチェックポイント
1. 要件は完全に固まっているか?
・Yes → オフショアでも進めやすい
・No(固まっていない部分が多い) → 国内で一緒にブラッシュアップすべき
2. 開発中に仕様変更の可能性はあるか?
・ある程度想定される → 国内の方が柔軟に対応できる
・可能性が低く、当初仕様通り作り切る前提 → オフショアでも良い
3. リアルタイムのコミュニケーションが重要か?
・重要(細かい調整を逐一相談しながら進めたい) → 国内開発一択
・仕様書どおり淡々と作れば良い定型的案件 → オフショアでも問題少ない
4. 納期に厳しい制約があるか?
・タイトな納期で走りながら調整が必要 → 国内(オフショアではコミュニケーションロスが致命傷)
・時間に余裕があり調整回数も少ない → オフショアでもギリギリ対応可能
5. コスト最優先か?品質・確実性も重視か?
・コストが最重要で多少のリスクは呑める → オフショアも検討余地あり(ただし小規模開発ではメリット薄い)
・品質やプロジェクト成功の確実性を重視 → 国内の方が結果的に満足度が高い
国内開発を推奨する回答が3つ以上当てはまるなら、迷わず国内の開発会社を選ぶことをお勧めします。
大半の中小企業案件では、要件は手探りで変化も付き物です。
その現実を踏まえれば、国内で顔の見えるパートナーと進める方が結果的に近道であり安心です。
システム開発で仕様ズレを防ぐために今日から始められること
この記事では、システム開発における仕様ズレの原因と対策について解説してきました。
発注者側の準備(業務フロー図の作成、要件の優先順位付け、曖昧な表現の排除、画面イメージの共有、定期的なレビュー)と、信頼できる開発パートナーの選び方、そして国内開発とオフショア開発の違いをお伝えしました。
・業務フロー図で業務の流れを可視化し、認識を揃える
・「必須」と「できれば」を明確に分け、優先順位を共有する
・曖昧な表現を避け、定量的な基準や具体例で伝える
・初回相談で「要件定義の進め方」「認識違い時の対応」「失敗事例」を質問する
・国内開発とオフショア開発を5つのチェックポイントで判断する
レブクリエイトは、創業以来100%国内開発を貫き、300件を超えるシステム・アプリ開発実績を積み重ねてきました。
お客様の業務内容や業務フローを膝詰めで丁寧にヒアリングし、
要件定義から設計・開発・保守運用までワンストップで対応しています。
「要件がまだ固まりきっていない」という段階からでも大歓迎です。
まずはお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください(1営業日以内にお返事いたします)。
「こんなはずじゃなかった…」を防ぎ、期待通りのシステムを一緒に作り上げましょう。